畑の土をみると、その土地がいつのどんな噴火できたかを見分けることができる。特定の火砕流や土石なだれの分布限界を知る方法としても有効だ。
鎌原土石なだれ。礫がたくさん混じっている。よく探すと、ガラス質の黒岩がみつかる。土はシルト分より砂分が多い。色は茶色。万座鹿沢口駅裏の台地。
P1020554s.jpg追分火砕流。スコリアと礫がまじっている。色は青あるいは茶色。北軽井沢。
P1020632s.jpg手前の青黒色が追分火砕流。向こうの褐色が平原火砕流。一枚の畑の中に地質境界があるのはめずらしい。大前駅裏の台地。
 平原火砕流はしっとりした黒で、礫をほとんど含まず、砂分よりシルト分のほうが多い。この特徴は、平原火砕流の堆積物の特徴ではなく、その上を覆っている厚さ1メートルのクロボクの特徴だ。畑の土がクロボクからできているのは、過去1万年間に浅間山から火砕流などの土砂がその地点まで流れてこなかったことを意味する。
 塚原土石なだれの表面も同じクロボクだが、流れ山の有無によって平原火砕流と区別することができる。
 
浅間火山北麓の電子地質図 2007年7月20日
著者 早川由紀夫(群馬大学教育学部)
描画表現・製図 萩原佐知子(株式会社チューブグラフィックス
ウェブ製作 有限会社和田電氣堂
この地質図は、文部科学省の科研費(17011016)による研究成果である。
背景図には、国土地理院発行の2万5000分の1地形図(承認番号 平19総複、第309号)と、 北海道地図株式会社のGISMAP Terrain標高データを使用した。