6.01(木)

▼北海道立地質研究所の地質研究所ニュース vol.16 増刊号は,学術データをわかりやすく開示しつつ,今回の有珠山噴火の全体像をよくまとめています.
 
▼「立入禁止区域」という言葉を用いている民間報道機関が目につきます(北海道新聞時事通信札幌テレビ室蘭民報).しかしいま,有珠山周辺で法律的に「立入禁止」になっている地域はありません.災害対策基本法63条による警戒区域は,たしかに人が立ち入ることができない禁止区域ですが,いま実施されている避難指示は60条によるものです.これは立退きを問題にしているだけであって,立ち入りについては触れていません.さらには,罰則規定がありません.道公安委員会が76条による通行禁止処置をしているかもしれませんが,徒歩での立ち入りは76条でも禁止されていません.
 したがって,いま有珠山周辺に「立入禁止区域」があると受け取れる報道は誤りだと言えます.NHK朝日新聞は,ここのところをよく押さえている.地元住民につよい影響力をもつ道新をはじめとする各社の誤報は,近い将来重大な問題に発展する可能性を秘めていると,私は感じます.ジャーナリズムの不勉強・軽率によるつけが住民に重くのしかかるかもしれない.
 上の私の解釈は,法の抜け道を論じているのではありません.立入禁止処置をしたいのなら,それにふさわしい63条が用意されています.にもかかわらず町長が63条を使わないのは,意図して(法的には)立ち入りを禁じていないことの直接証明だと言うことができましょう.このことに関して,法律専門家からの意見をお待ちします.(1015)