火山学専門用語

火山学には特有の専門用語が存在するので,それを以下に解説する.

テフラ 爆発的噴火によって生産されるマグマの破片.軽石・スコリア・火山灰・火山砂・火山シルトなどの総称.地表に堆積したあと乱されていないテフラ層は過去の噴火を記録する噴火堆積物であるから貴重である.

レス 風によって運ばれて堆積した細粒物質.関東ロームのほとんどはテフラを原物質としたレスである.噴火堆積物であるテフラ層と対峙させたときには,レス層は非噴火堆積物という意味をもつ. カタ 玄武岩〜安山岩マグマの細粒火山灰.堅く固結している.水冷効果が効いて細粉化した.

プリニー式噴火 成層圏に達するくらいの高い噴煙柱が火口の上に立ち,数時間以上それが継続する様式の噴火.定常状態が出現して熱を連続的に上へ運ぶから,プリュームの一種である.噴煙柱は上空で傘型に広がって火山灰雲をつくる.火山灰雲は主に圏界面ふきんのつよい風に流されながら,終端速度が大きい順に,軽石礫・火山砂・火山シルトを地表に降らせる.イタリアのベスビウス火山79年噴火を記述したプリニーの名にちなむ.

火砕流 火山爆発のときに,発泡したマグマの破片がガスといっしょに一団となって地表面を流下する現象.

熱雲 溶岩ドームや溶岩流の先端から発生するテフラ粒子を含んだ高温の爆風.重力不安定による崩壊などをきっかけとした急激な減圧によって生じる.テフラ粒子が発泡していないのが特徴である.プレー火山で1902年5月8日に発生した熱雲では2万8000人が犠牲になった.

ラハール 火山麓で発生する洪水・泥流・土石流など土砂を交えた水の流れの総称.インドネシア語.

岩なだれ 山体の一部が不安定となって高速で崩れ落ちる現象.低速のものは地すべりという.


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