噴火の規模と年代

火山の成り立ちを記述するときには一回の噴火が基本単位となる.一回の噴火を記述するためには,少なくとも,規模と年代が明確にされる必要がある.ここでは,噴出したマグマの重量をm (kg) としたときに,M = log m - 7 で得られる量を噴火の規模(M;マグニチュード;早川,1993)としよう.

噴火年代を正確に決定することは,現状では,むずかしい.ここでは次の方法を採用する.一回の噴火の年代に関する良質な情報は,その堆積物であるテフラの層位に残されているので,分布面積が広く他のテフラとよく重なることを条件に,日本に分布する無数のテフラの中から,マスターテフラをいくつか選び出す.そのマスターテフラの年代を,これまで報告された多数の放射年代値や深海底堆積物の酸素同位体比曲線の中での層位によって(いくぶん恣意的だが)決定する.具体的には,次の11テフラにB/M境界(78万年前)を加えて,最近100万年間を12枚の時間面で分割する:鬼界アカホヤ(7300年前),姶良丹沢(2万6000年前),大山倉吉(5万年前),阿蘇4(8万7000年前),阿多鳥浜(25万年前),加久藤(34万年前),水鉛谷TE5(42万年前),小林サクラ(54万年前),貝塩鳥居峠(65万年前),猪牟田アズキ(87万年前),猪牟田ピンク(100万年前).個々のテフラの噴火年代は,テフラを挟むレスの厚さを時間尺度としてもちいるレスクロノメトリー(早川,1991)によって決定する.日本におけるレスの堆積速度は,ふつう1〜10cm/千年である.新しい時代の年代は西暦2000年からさかのぼった年数で表現する.


火山の噴火史に戻る
早川研究室ホームページに戻る