硫黄島 

硫黄島は,東京の南1,250kmにあるアルカリ粗面岩からなる特異な火山島である.全島が地熱地帯となっていて,1889年以来15回の水蒸気爆発あるいは熱泥水の噴出が記録されている.それ以上に顕著な地学現象として,異常ともいえる地殻変動がこの島では現在進行中である(貝塚ほか,1985).1911〜1952年の間に隆起速度11cm/年,1952〜1968年の間に33cm/年が観測された.後者の期間の最大隆起量は硫黄島北東端で9.2mに達した.また,島内のいたるところで断層運動によってできた地形変位をみることができる.島を取り囲む23段の海成段丘は,このような活発な隆起運動が数百年以上前から続いていることを教えている. このようなことから,カルデラをつくるような大規模噴火が近い将来起こるのではないかと心配する人もいる(Newhall and Dzurisin, 1988).


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