2000.6.8-6.10に有珠山で見たこと調べたことのメモです.6.13に備忘録として書い
たものから毒気を削除したものです.ほんとは,もっとまとまった文章を書きたいの
ですが,いまできませんので,応急処置としてこれを公開します.
 
早川由紀夫
6.19.1205

▼立入規制ゲートには,警察官がほんとに24時間複数で立っているようだった.いま
5個所あるゲートのうち,4個所で警察官に告げた「中に入りたい」(のこり1個所は
他人の目があったので遠慮した).

答えは,いずれも「危険ですから,入れません」.
「危険でもいいですから,入りたい」と私はいったが,危険認知の問題やそれ以前の
問題で会話が成立しなかった.

ゲートの脇に立ち入りできないことを書いている看板を置いていたのは,一個所だけ
.その掲示内容は,立入規制の根拠をなんら説明していない文章だった.

現場に立っている警察官へのインタビューだけでは不十分なので,現場責任者に伊達警察署の地
域・交通担当次長を紹介してもらって,訪問して,小一時間お話ししてきました.

結局,いまの規制は法律によるものではなく,警察権力による規制だといえる.
法律がないがしろにされて,戒厳令に似た統制がなされているこの現状は好ましくない.

私は,火山危機一般で立入規制地域をおくことに反対だが,立入規制を敷くことがど
うしても必要なら災害対策基本法63条による警戒区域を指定して,きちんと法律に基
づいた規制を敷いてほしい.そのほうが,いまの法律に基づかない戒厳令体制よりは
るかに望ましいと私は考える.→関係法令

なお,住民のなかには,やはりしたたかに,警察の目をかいくぐって自宅に戻って
いる人が,ここ有珠でも,たしかにいるそうだ.

▼サンパレス・ホテルは,土曜日だけでなく平日もお客でごったがえしている.
もちろんほとんどが4980円のお客だろう.
家族・中年婦人グループ・カップルなど.
食事はバイキングスタイルらしい.

サンパレスから噴火口も見えないし,白い蒸気もみえない.
山陰(やまかげ)になっているから,空振も聞こえない.

インタビューすると「こわいものみたさで来ましたぁ」とお客はいうが,ほんとにこ
わいものを知ってて来ているとは思えない.

▼伊達霞ヶ関での政府の対応は,目を見張るものがあった.
6.10.0900からの第58会現地対策本部合同会議を私は(勝手に)傍聴した.
0)司会は田村審議官 国土庁
1)あいさつ 現地本部長 増田・国土庁政務次官
2)監視について
・気象庁
・国土地理院
司会「ほかに火山の状況について説明がありますか?」
司会「質問ありますか?」
3)避難について
・虻田町長
・胆振支庁
・伊達助役
以上,20分ほど

このあと6.10.0940から記者会見があった.

▼虻田町の高速道路より海側の地域は避難解除されたが,戻ってきていない家もめだ
つ.ひっそりしていた.3.31噴火で噴石をうけて大きな被害を受けた住宅も避難解除
されていて,見物人が訪れていた.私もそのひとりになったが,その家の主人に申し
訳ない気がした.

▼板谷川を土石流が下るのは時間の問題だろう.建設省が視察していたが,本格的手
当するまでにはまだ至っていない.土嚢を積んである程度.ちかくの住民は戻ってき
ていないところが目立ったが,戻ってきている人もいる.

▼虻田高校は豊浦高校で授業をしている.虻田中学は虻田小学校で授業をしている.
どちらも住民が戻った地域の中.虻田高校は高台で山陰だから授業してもよいと思う
が,安全のためにしてないならそれでけっこう.虻田中学は板谷川のすぐそばだから
(やや高い位置にあるものの)土石流の危険が大きいから,そこで授業をしないのは
正しい判断だ.虻田小学校は虻田町役場の隣.


2000年6月上旬の有珠山とその噴火警戒(写真による報告)も参照してください