5.15(月)

5.105.11にここで話題にしたGPS測量の矛盾について,さらに詳しいことがわかりました.気象庁火山課から直接入手した図2枚(気象庁GPS北大・九大GPS)をごらんください.5.9に現地で配布した報道発表資料らしい.
 気象庁GPSに,変動はほとんどみられません.一方,北大・九大GPSには,+133cmをはじめとして,大きな変動が表現されています.変動データを気象庁による観測結果だと時事通信が報道したのは誤りだったことがわかります.気をつけてください.
 毎日新聞北海道新聞の記事も,変動が生じた期間を明記しなかった点が,たいへん不適切でした.火山噴火のような現在進行形の災害の報道では,このような不注意な報道が大きな混乱を生むことがあります.気を引き締めてほしい.
 この変動データを記者に提供した北大と九大の専門家にも,若干の落ち度があったと言わざるをえません.変動が発生したのがいつであるか,明示的に書くべきでした.わからないから書かなかったでは,許されません.情報発信者は,情報の内容だけでなく,発信した情報が受け手によってその後どう取り扱われるだろうかまで意識すべきです.それが引き起こす結果について,責任を一定限度まで問われます.変動期間を明示しなければ,受け手は最近変動したと理解してしまうだろうと容易に想像できたはずです.マスメディアの担当者はしょっちゅう入れ替わります.受け手がそういう人たちであることをよく理解して,もっと親切な説明文を書いてほしかった.同様の観測をしている国土地理院のデータとの比較に言及しなかったのも不十分でした.(0940)
 
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