5.12(金)

▼きょう避難指示が解かれた本町6区の危険はどれくらい?
 
雨が降っても土石流が発生しないようにみえる不思議が解明できました.4.22に私は,土石流(泥流)が発生することはほぼ確実ですと書きました.ところが,74.5mmの雨が降ってもたいした土石流が発生しませんでした.5.3にも51mmの雨が降ったのに,大きな泥流・土石流は発生しませんでした.これをもって,科学的に説明しにくい現象が起きていると私は断定しましたが,ダイヤコンサルタントの尾関さんから,ご教示いただきました.
 不思議でもなんでもなく,当然だそうです.尾関さんによると,土石流の発生を支配するのは,日雨量ではなく時間雨量だそうです.時間雨量が15mmを超えると土石流の発生危険が格段に増すそうです.じつは私もこのことはおぼろげながら知っていました.しかし報道された日雨量に留まっていて,時間雨量を自分で調べる手間を省略していました.反省します.
 尾関さんに教えていただいたアメダスデータによりますと,5.3の時間雨量の最高は5mmで,弱い雨が長く続いて日雨量51mmに達したことがわかりました.4.22は9時台の14mmが最高で,やはり時間雨量15mmを超えていませんでした.したがって,大きな土石流がでなかったことは不思議ではないことがわかりました.
 7月以降,雨が増えて,一時間に15mmを超える激しい雨が降ったときは,大きな土石流が起こりますから注意してください.
 なお尾関さんによると,時間雨量より10分雨量のほうが土石流の発生をより強く支配するとのことです.しかし,10分雨量を測定している雨量計は少ないとのことでした.(1400)
 
▼北海道新聞の有珠山噴火2000年春は,読ませる.
 
3.31噴火で火砕流が発生したと,こういう目立つところにようやく書けるようになった.ただし,3.31火砕流は,とても弱くて小さなものでした.だから,わたしはミニ火砕流と,その日の記録に表記しました.火砕サージとよぶ専門家もいますが,わたしは,火山地域の住民が学習すべき専門用語を増やさないために,この噴火現象も火砕流と呼びます.
 今回の噴火で火砕流がすでに発生していたというこの情報は,多くの人にとってニュースかもしれませんが,不安材料ではありません.4月初めにこの情報を知って不安に思うべきでした.いまこの情報を初めて知ったのなら手遅れだと言えましょう(笑).冗談はともかく,3.31のあと,こういう火砕流が頻発して,どんどん強くなって大きくなることがなくて,よかった.いまは,こういう種類の火砕流の危険は,ずいぶん遠のいた.つまりこの情報は,いまや安心材料です.ミニ火砕流のページを見て私に質問メールをくださった記者と,4月2日に交わした二往復の会話
 これからは,私の有珠山ページの隅から隅までぜんぶ読んでくださいね.まだまだヒミツが隠れているかもしれませんから.重要な情報って,ストレートに公開するのはなかなかむずかしいのですよ.障害がいろいろあります.障害があるからといって,情報を隠すことを私はできるだけしないようにしています.熱心に情報探索する方は,みつけた情報を冷静に消化できる方だと思うから,そのような方の努力に報うべく工夫しています.(0845)