4.11(火)

▼ANN1706ニュースで,いつものサイロ展望台から報告するレポーターの背景に映っていた有珠山の二地域の噴煙は,どちらも白い.そして風で左へ横倒し.つまり噴出する火山灰の量が激減し,水蒸気の噴出率も低下している.きのうまでとくらべて,ずいぶんと急変化している.弱まったと喜ぶより,むしろ変化率が急だと警戒を強めるべきだと思います.(1740)
 
▼有珠山噴火開始から最悪(クライマックス)までの日数
洞爺湖と有珠山の噴火の歴史---その特徴と,まだ解明されていない不思議
 
▼気象庁が4月5日の臨時火山情報19号で言ったのは,「爆発的噴火が発生するとすれば、この2、3日から1、2週間以内に可能性が高い」です.「この2,3日から1,2週間以内に爆発的噴火が発生する可能性が高い」と言ったのではありません.(1155)
 
4月8日の時点では遠くから撮影していた毎日新聞も,けさは洞爺湖温泉の被害を近接撮影した写真を掲載.心配だなあ,わたし.まあ,危険なのは火山噴火よりむしろとなりをいっしょに飛んでるヘリなのかもしれないけど.(1000)
 
▼火山防災のためには,噴火開始の予知よりむしろ,クライマックス(最悪)の予知が重要な意味を持ちます.クライマックスの種類と程度そして到来時期を的確に予知することが,被害を最小限に留めるためにもっとも重要ですが,いまの学術レベルでは,種類・程度・到来時期すべてを精度よく予知することは不可能だと言ってよいでしょう.
 しかし,3.31噴火がクライマックスだったのか,それともこれからクライマックスが来るのかを言うことは,それほどむずかしいことだとは思えません.火山学者の真価がいま問われています.(0910)
 
▼昨晩2242ANNニュースステーションの見出しテロップ表示『「爆発的な噴火」当面ない』は,あきらかに行き過ぎです.気象庁は4月5日の臨時火山情報19号で,それまで「本格的な軽石噴火」と言っていた現象を「爆発的噴火」に言い換えました.この言い換えは,あの時点では,緊張感を高めるのに役立ちましたが,いまは逆に弊害を生み出しています.行き過ぎた油断を招くことが心配されます.すくなくともテレビ視聴者にとって「爆発的噴火」の意味するところが,当初「本格的な軽石噴火」で指されていた「プリニー式噴火」ではなくなっている.もう有珠山は爆発しないと気象庁が言ったと視聴者が思い始めることが心配です.
 そもそもいま継続中のジェットを高く噴き上げる噴火は爆発的噴火の一種です.爆発的噴火とは,溶岩を静かに流出させる噴火(静穏的噴火)の対になる語です.ですから,火口から噴き上がるジェットの映像に『「爆発的な噴火」当面ない』とテロップを重ねたのは,はなはだしい自己矛盾でした.
 きのうから,ジェットの色の白さが増し,噴き上がる高さが低くなっているようにみえます.白くなったのは,噴出する火山灰の量が減って水蒸気がほとんどになったからです.嵐の前の静けさでないといいですけど.(0635) 火山の奔放さ