水底堆積物
Volcanogenic Sediments under Water
 
 小笠原父島には安山岩の枕状溶岩とデイサイトのハイアロクラスタイト (hyaloclastite) がよく露出する.
 ブロンザイト安山岩の枕状溶岩は,ひとつの枕の大きさが1m程度で,玄武岩溶岩の枕にくらべるとかなり大きい.表層1cmは海水に触れて急冷されて黒色のガラスになっている.

 冷却殻に包まれた核は変質作用によって変色して淡い黄色になっている.その中には直径3mm程度の真球に近い気泡の跡がいくつもみられる.現在は炭酸塩とシリカ鉱物がそこを埋めている.
(小笠原父島小港)
 マグネシウムを多く含む安山岩であるボニナイトの枕状溶岩は,上下につぶれたぺしゃんこな枕が多い.
(小笠原父島天ノ鼻)
 水底にマグマが噴出するといつも枕状溶岩がつくられるわけではない.砕屑物からなる岩体もつくられる. これをハイアロクラスタイトという .

 この断面では,多孔質の黒色ガラス質デイサイトからなる火山礫・火山岩塊が互いにほぼ接しているが,火山砂・火山シルトも間に含まれている.それらは変質して白くなっているので,一見すると多量に含まれているようにみえる.しかし,それらが全体に占める割合はたかだが数%である.
(小笠原父島大村海岸旧道)
 小笠原には,このような巨大な貫入岩体もみつかる.
(小笠原父島)