ストロンボリ式噴火とスコリア丘
Strombolian Eruptions and Scoria Cones
 
 高さが10kmより低いプリュームは,テフラを広範囲に拡散する能力をもたない.火口から噴き出される火山岩塊と火山礫のほとんどはそのまわりに落下して円錐台のかたちをした丘が火口の周囲に形成される.これをスコリア丘という.そして,この噴火様式をストロンボリ式という.爆発は強弱を繰り返して長期間(数ヶ月〜数年)継続するから,よく成層した堆積物が火口の四周に残る.
 1986年11月16日13時30分ころの三原山A火口.ストロンボリ式噴火によって火口の周囲にスコリア丘を築き始めている.内壁に堆積したスコリアがときどき火口内に崩れ落ちて,黒煙を上げた.
 
 米塚は,いまから1700年前に阿蘇カルデラ内で起こったストロンボリ式噴火でつくられたスコリア丘である.数週間〜数ヶ月かけてゆっくり成長したと思われる.

 火口から噴出したスコリアは斜面をころがって火口縁の内と外の両斜面に崖錐をつくる.崖錐斜面は平滑で直線的であることが特徴である.その斜面は基底面と不連続に接する.地表を平行に覆って連続的なスカイラインをつくる降下テフラとはつくる地形が異なる.

 写真では,スコリア丘の右端に溶岩流の出口が認められる(矢印).ここから流出した溶岩はパホイホイだったから米塚スコリア丘はそれによってほとんど壊れなかった.溶岩流の出口は,米塚に隠れた向こう側にもう一ヶ所ある.
 採石場で人工的につくられた崖錐斜面.明色の古い斜面と暗色の新しい斜面はいずれも直線的で,地面となす角(安息角)もほぼ同じである.
スコリア丘の模式断面図.火口から片側のスコリア丘断面について,スコリア丘がしだいに成長していくようす(1→4)を示す.時間とともに崖錐斜面が拡大していく
(McGetchin et al., 1974).
 お供え餅のようにつぶれているのは形成直後に溶結したからである.ごく短時間の噴火でできたスコリア丘に限ってみられる.
(Klamath Falls, Oregon)

 半固結のスパターが火口から放出されると,崖錐を形成することなく,その場で溶結する.そして,冷却後ゆっくりと崖錐が成長し始める.現在,崖錐の最高点はスパター丘の高さの半分ほどまで達している.
(Craters of the Moon, Idaho)