噴煙から降下するテフラ
Tephra Fallout from Eruption Clouds
 
 上方へ単調に細粒化している姶良丹沢火山灰は,この地層を堆積させる原因となった巨大な火山灰雲が短時間だけ持続した熱供給によって生じたこと,すなわちそれがサーマルだったことを物語っている.この地点は姶良カルデラから約590kmはなれているから,その熱供給が継続した時間は,火山灰雲の移動にかかった時間(約6時間)と同等もしくはそれより短かった.
(奈良県都祁村並松Tanzawa ash in Nara, 590 km from source)

 河岸段丘をつくるシルト/砂/礫の互層のあいだに挟まれて,丹沢火山灰の堆積構造がよく保存された.
(富山県立山町千垣; Tanzawa ash in Toyama, 800 km from source)


 富士山での丹沢火山灰(AT)の層位は,レスの中ではなく,降下スコリア層の中にある.丹沢火山灰が降り注いだその瞬間に富士山はスコリア噴火をしていた.
(御殿場市上柴怒田; Tanzawa ash at Fuji, 800 km from source)
     
 2万8000年前に起こった姶良火山の大噴火(M8.3)のころ,八丈島では軽石噴火が断続していた.そのため,八丈島では地元の軽石層に挟まれて丹沢火山灰がよく保存されている.
(東京都八丈島; Tanzawa ash in Hachijojima)

姶良丹沢火山灰の分布図(町田・新井,1992).等厚線は円形に近く,風上側へも分布する.


 姶良丹沢火山灰を降らせたサーマル雲の発生源である入戸火砕流堆積物.
(国分市岩戸)