噴煙から降下するテフラ
Tephra Fallout from Eruption Clouds
 
 伊豆大島では,過去1500年間に堆積したレスの間にスコリア礫層と火山灰層からなる降下テフラが24枚挟まれている.それらには,アルファベットと数字からなる符号が一枚一枚つけられている.ひとつの噴火のマグニチュードMは,1.8と4.8の間にはいる.スコリア礫層は準プリニー式噴火の産物,火山灰層は水蒸気マグマ爆発の産物である.
 噴火堆積物である青黒色のテフラと,非噴火時の風塵堆積物である褐色レスが互層している.テフラの厚さは噴火の規模を反映し,レスの厚さは時間の長さを反映する.テフラには一枚一枚名前がつけられ,全島くまなく追跡されて分布が明らかになっている.

 N1.0テフラの上面にはガリー(雨裂)が形成されていて不整合関係がいちじるしいが,そこで長い時間が経過したわけではない.
(1986年C火口下駐車場)

 Y4.0テフラの等厚線図(cm).実線で示した火山灰は全島に分布するが,破線で示したスコリアは島の東側の限られた範囲内に分布する
(小山・早川,1996)

 スコリア礫層のほとんどは,中央火口の東で厚い.噴煙柱が高さ10km以上まで上昇して偏西風の影響を強く受けるからである.

 N4.0のちょうど真ん中にある火山灰層は降下堆積物である.N4.0の上下にある褐色とは色が異なる.
(二子山の東)

 1986年11月21日の噴煙柱は最盛期に高さ16kmに達した.
(野島崎航路標識事務所撮影)

 この噴煙柱から降下したスコリアの厚さは火口の東4kmで23cmに達した.


 その噴煙は人工衛星NOAAによって宇宙からもとらえられた.
(東海大学による画像処理.使用許可未取得)