噴煙から降下するテフラ
Tephra Fallout from Eruption Clouds
 
 プリニー式テフラのマグニチュード上限はM7ふきんにある.マグニチュード上限近くのプリニー式噴火は,高度50kmにも達する高い噴煙柱を数時間ないし数十時間維持したあと,そのまま大規模な火砕流噴火に移行した例が多い.
 4万1000年前に支笏湖から噴出した支笏第一軽石(Spfa 1)は,xx km離れたこの地点で580cmの厚さがある.200km離れた襟裳岬でも60cmあり,その体積は125km3と計算される.マグマの体積に直すと40km3,マグニチュードで表現するとM7.0である.

 空から雪のように降り積もって堆積したことが,上部にとくによくみえる縞模様からわかる.この縞模様は,マグマ噴出率が増減して噴煙柱の高さが上昇と下降を繰り返したたために生じた.数十時間続いた定常的なマグマ噴出のあと,火道壁の強度が低下して火口が拡大し,大規模な火砕流の流出に至った.

 支笏第一軽石の下には,クッタラ第一軽石(4万2000年前,M6.2)が,上には恵庭a軽石(1万8000年前,M6.0)と樽前d軽石(9000年前,M5.6)がみえている.
(早来町新栄;Spfa 1 pumice from Shikotsu)
 
 2万8000年前に姶良火山から噴出した大隅軽石(M6.9)が,レスを挟まないで入戸火砕流堆積物に直接おおわれている.
(左:鹿児島県西上馬場,厚さ6m;右:宮崎市,火口から80 km;Osumi pumice from Aira)


 アメリカ合衆国オレゴン州のクレーターレイクから7700年前に噴火したマザマ軽石(M6.5).下部40%は有色鉱物粒子が多いために黒っぽく見える.最上部には軽石礫がみられ,全体として逆級化層理を示している.時間とともに噴煙柱の高さがしだいに上昇したのである.最下部にある厚さ1cmの降下粘土層は,このプリニー式噴火に先行して小噴火が起こったことを示している.
(Bachelar Ski Resort, Oregon)