国際電話のかけ方(長井隆行) 

 外国に行くのは初めてだった僕たち(登場人物:長井、金ちゃん、星くん)は、さまざまなことにカルチャーショックを覚えていた。けれど、好奇心旺盛な彼らはどちらかというと、そのカルチャーショックを楽しんでいたと言う方がいいかもしれない。日本の感覚では通用しない出来事がたくさんあり、それらひとつ一つに感動してしまう。初めて外国に行ったときは誰でも感じることであろう。

 これは、ハワイに着いたその日、ヒロハワイアンホテルでの出来事である。さっそく、ハワイから友達なり、恋人なりに国際電話をかけようとしたけなげな2人の物語である。

金ちゃん 「星くん、テレホンカード買って日本に電話しようよ。」

星くん 「そうだね、行こう。長井君はソファーであぐら組みながら寝ているから、ほっとこう。」

 2人は一番国際電話をかけたがっていた長井君をほっといて、テレホンカードを買いに行ってしまった。

金ちゃん 「アメリカのテレホンカードって、ここの銀色のところをこすって暗証番号を出すんだね。」

 ホテルのロビーにある公衆電話でかけることにした。

金ちゃん 「まず、カードをここに通して、暗証番号を入れる。そして、011+81+日本の番号っと・・・」

電話 「フョー」

金ちゃん 「フョーっていってるよ!」

星くん 「それ日本の電話で言うところのプーだろ・・・。つまりかかっていないの。俺に貸してみ。」

星くん 「まずカードを通すだろ。」

電話 「カードヲサシコンデクダサイ。」

星くん 「おい、今差し込んだよ。」

電話 「オクマデサシコンデクダサイ。」

星くん 「これ以上奥まで差し込めないよ、お前。」 

 電話がカードをなかなか読みとってくれないので、彼は裏返したり、逆にしたり様々な方向からカードをいれた。

電話 「カードヲサシコンデクダサイ。」

星くん 「おい、キレタイ。」

 彼は腹が立ったときに「キレタイ。」という。

金ちゃん 「じゃ、フロントの人に聞いてこよう。英語で話してみようよ。」

金ちゃん 「アハー、エクスキューズミー、ウッジューテルミーハウツゥーテレホン?」

フロントの人 「電話のかけ方デスカ?」

 金ちゃんの努力もむなしくフロントの人は日本語で答えてきた。

金ちゃん 「電話のかけ方教えてください・・・」

金ちゃん 「まず、このカードをここに通しますよね。けど読みとってくれないんですよ。」

フロント 「違うよ。ここにはテレホンカードじゃなくって、クレジットカードを入れるんです。テレホンカードは、入れるモノじゃありません!」

星くん 「!?。テレホンカードは入れない?」

フロント 「そう、まずカードに書いてある電話番号にかけるでしょ.するとつながるからアナウンスに従って日本語を選ぶ。みえ張って英語を選ぶとまたかけられなくなるわよ。」

金ちゃん 「今のはブラックユーモアか?」

フロント 「そしたら、このカードの暗証番号を入れるのよ。どうつながった?」

フロント 「後は011+81(国番号)+日本の番号(頭の0は入れない)を入れればOKよ。」

金、星 「ありがとうございました。」

星くん 「恥ずかしかったな。」

金ちゃん 「おれも・・・。けど国際電話かけられるようになったから、後で長井君に自慢してやろう。」

 翌朝、二人は僕に向かって「国際電話のかけ方なら俺達にまかせな!」と言った。

正しい国際電話のかけ方

テレホンカード 僕が買ったセブンイレブンのテレホンカードは20ドルで60unitだった。日本まで1分間3unitだから1分間1ドルである。かけ方は、まずカードに書いてある電話番号にかける。するとつながり、英語だの日本語だのスペイン語だの言っているので、日本語を選ぶ。アナウンスに従って、カードの裏の銀の部分を削って出した暗証番号を入れる。自分の残り度数を教えてくれるのでそれから電話がかけられる。アメリカからは「011+81+日本の番号(頭の0は入れない)」ダイレクトに日本につながる。

クレジットカード VISAなどのカードでもかけられる。カード挿入口のある公衆電話でかけられる。テレホンカードを間違って入れないように。ゆっくり差し込むとしばらくしたのち、通話可能になる。

コイン 25セントのコインで国際電話をかけようとするには、5枚じゃ足りないだろう。そのくらい入れて日本の電話番号まですべて入れ、つながる寸前に入れたコインが一気に戻された。きっとコインでかけるなと電話は言っていたのだろう。