12.30 優雅なリゾート生活(田村知栄子)

 午前9時前,内緒でマウナケアに登るグループとビーチに泳ぎに行くグループを送り出し,部屋に一人残った.今日は一人で,快適で優雅なリゾート気分を味わうのさっ.のんびりゆったりするのも大切なのさっ.単に疲れてたからとか,泳げないからとかという話もあるけど,気にしないのさっ.

 とりあえず,ソファーや椅子,テレビを居心地がいいようにセッティングする.優雅な飲み物も欠かせない.朝からワインとかいきたいところだけど,ノンアルコールのオレンジジュース.これが一番.ソファーにのんびり横になってテレビをつける.CNNでワールドニュースをしていた.英語があんまり分からなくても,テレビの映像やアナウンサーの表情,テロップを見ているとなんとなく理解することができる.フムフムと分かったつもりになって見ていたけれど,気がついたら眠っていた.やっぱり疲れてたんだよ.うんうん.目が覚めたら,ラナイに出てみた.この部屋は,となりのゴルフコースに面している.カートに乗ったカップルがたくさんコースに出ていた.目の前の芝生にはたくさんの鳥たちもやってくる.羽をとじているときはただ黒いだけなのに,羽を広げると白い模様がパッと広がる鳥,青い羽がとってもきれいな鳥.スズメによく似た鳥もやってきた.顔かたちはよく似ているけれど,もっと茶色くて目付きも鋭い.ハワイのスズメは色が濃い.ハトもいた.なんとなく彫りの深い顔立ちに見えるけど,気のせいだろうか? ラナイには涼しい風が吹き込んでくる.緑の芝生にとっても青い空.軽井沢でもこうはいかないだろう.優雅なリゾート気分を味わう.

 部屋の中に戻り,本を読むことにする.飛行機の中で読もうと何冊かもってきている.ここで英語の本なんか読めるとかっこいいのだけれど,そういうわけにはいかない.こんなときに眉間にしわをよせて読んでも楽しくはない.日本にいるときはついつい時間に追われてゆっくり読む間もない.ここでなら,仮に日本で何か起こったとしても,あわてて引き返せないわけだから,時間を忘れることができる.何にも縛られることがない.こんな時間が大切だ.せっかくハワイまで来たんだからとあれもこれもとするのもいいけれど,「次にまた来よう」と考えて何にもしないのもいいと思う.気持ちがのんびりとしていくのがわかる.これがホントのリゾートじゃないのかなぁ.

 お昼近くなったので,近くのスーパーに買い物に出かける.ついでに,近くを散歩しよう.ツツジのように刈り込まれたブーゲンビリアや名前も知らない黄色い花.道をゴルフ場のカートがのんびりと横切っていく.スーパーのまわりは,ショッピングセンターのようになっているけれど,閉まっている店も多い.ところどころにあるベンチやテーブルでは,早めの昼食をとる人,雑誌を読む人,昼寝をしている人.一人でプレートランチを広げてもくもくと食べている白人のおじさんは何だろう?人間観察もおもしろい.アメリカでは,屋外で食事をするのは普通らしい.スーパーのまわりにもテーブルがたくさんある.せっかくだからこういうところで食べるのもいいなと決めて,スーパーへ.結局,おみやげを買ったりしていたら,12時を随分過ぎてしまった.テーブルはどこも親子連れでいっぱい.外で食べるのはあきらめて,部屋に戻ることにした.お昼を食べて,また読書.午後2時,最初のグループが戻ってきた.どんなことがあったのか聞いてみることにしよう.

 ゆっくり時間を過ごすことで,気づかないで通り過ぎてしまうものに,いっぱい気づけた気がしている.これは気のせいだろうか.