12.24 Hilo Hawaiian ホテル(堀越郁夫)

 大きなバニヤンツリーが両側に茂るヒストリック・バニヤン・ドライブをしばらく走ったところにヒロ・ハワイアンホテルはあった。ヒロ湾に面したラウンジからはココナッツ島で遊ぶ子供たちや、雄大なマウナ・ケアの裾野が見える。我々が借りた4人用の部屋は3つとも、オーシャンビューではなくて残念な気もしたが、しっとりとした“バニヤンツリー”ビューも味わい深かった。

 飛行機の疲れと汗を洗い落とすために、まずはプールだ。豪華ホテルのそれとは違い、やや小さめですべり台もないし、プールサイドでブルーハワイを飲むこともできない。コンクリートのプールサイドにデッキチェアーが10ほどあるだけだが、景色を楽しみ、ゆったりとハワイを全身で感じとるには、これで十分かもしれない。水はきれいで、気持ちよさそうにきらめいていたが、暑すぎないその日の気候ではのんびり泳ぐには適さない冷たさだった。さすが、アメリカ人は頑丈なのだと感心していたら、あとからきた子供やおばさんも冷たくてなかなか入れない様子だった。

 プールでさっぱりした後は、明日から始まるキャンプのための買い出しだ。レンタカー4台に分乗し、車ごとにねらいをつけてヒロの町へ出撃だ。私は、“フレッセイ(群馬のスーパーマーケット)”とあだ名を付けたKTAで3日分の食料を買う。旅先のスーパーは楽しい。日本の商品が英語表示で売られていたり(私は“WASA BI”を買った)、バドワイザーがジュースとほぼ同じ値段で売られていたり。ものめずらしくてずいぶんゆっくり買い物をした。買い物のおもしろさのため、『今日の夕食はホテルのレストランがいいなあ』という気持ちが消し飛んだ。クリスマスイブだったのに。翌日からのキャンプ生活ではレストランに行けそうもないのに。

 買い物から帰ると夕食の時間だ。台所付きの部屋に思い思いに買ってきた“戦利品”を持ち寄り、三三五五、夕食が始まった。この後この旅で大活躍することになるコーンチップとサルサディップを始めとして、七面鳥、パン、ソーセージ、果物、あやしげなスープ、シュウマイ、ハワイのビールなど、様々な食品がダイニングテーブルの上に並んだ。私も、安い牛肉のブロックを、3口の電気式のレンジ(200Vで強力)で焼いてローストビーフを作り、好評を博した。高級感、スマートさとはほど遠いが、非常に楽しい夕食だった。ただ、食料を個人管理にしていた他のメンバーと違い、共同購入していた早川・長井・星の3人は、この時、大盤振る舞いしたため、のちに食料不足で悩むこととなる。

 ビールに酔った体をソファーにあずけて明日からの作戦会議をする。キラウエア、ビジターセンター、オーシャンエントリー、……。話が弾み、期待が高まる。この部屋は、とっても居心地がいい。4人用の部屋だが、グループの12人全員が集まっても居場所がないなんて事はない。とりとめもない話が続き、夜は更けていった。

 明日からに備え、寝ることになり、3つの部屋に分かれた。各部屋には寝室にキングサイズのベッドと、リビングに大きなソファーベッドがある。寝具は4人がゆったり寝るのに十分だ。男同士で一つのベッドに寝るのが嫌で、床に寝た人もいるようだが。ソファーベッドについては『ソファーベッドの使い方』で詳しく紹介する。朝方、強いスコールがあって目が覚めたが、気持ちよく眠った。

 翌朝、出発の準備を駐車場でしながら、手入れの行き届いた庭や、ヒロ湾の浜辺を散歩してもっと満喫すればよかったと思う。旅の後半で立ち寄ったヒルトン・ワイコロアなんかより落ち着けて断然雰囲気がいい。これで一人一泊4800円なら安いから、ここをベースキャンプにして何日間か滞在し、ハワイ島を楽しむのもよさそうだ。また訪れたいホテルの一つになった。でも、次に来られるのはいつだろう?